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人間の意思を自在に操るために読んでおきたい、ビジネスマンの必読書「影響力の武器」

2012/09/18

はい、どうも。みなさんこんにちは。

「影響力の武器」という本を読み終わりましてね。今日はそのことについて書いてみようかと。

この本はざっくり言うと、「なぜ、人が動かされるのか」ということについて、その心理状態を科学的に解説した本で「欲しくもないのに買ってしまった」とか「断りたいのに断れない」といった経験がある人にとっては、「ほほぅ」と思えるような内容になっています。

また、人を説得したりイエスを引き出したい人(仕事)や、逆にその防衛法まで書かれているのでその辺りに興味のある人は読んでみると面白いと思いますよ。

カチッ、サー

この書籍では、テープレコーダーを再生ボタンを「カチッ」と押すと「サー」と音声が流れるように、人間心理も深く考えずに自動的に反応してしまっている可能性があることを論じています。

今はテープレコーダーなんか使っている人はほとんどいないと思いますが、この本自体、結構古い本なのでその辺りの表現は古くなっています。ただ、内容自体は原理が書かれているので、まったく古臭さは感じませんよ。

以下、自動的に反応してしまう6つの「カチッ、サー」について解説します。

返報性

いわゆる、ギブアンドテイク。「他人がこちらに何かの恩恵を施したら、似たような形でそのお返しをしなくてはならない」という心理を利用したルールです。

先に誰かから何かの恩義や(金銭面等の)報酬を受けてしまうと、それを返さなければいけないという心理が働きます。これを利用し、より多くのリターンを得ようとしている場合もあります。平等な交換ではなく、不公平な結果を導く場合もあるので注意が必要です。

また、「拒否したら譲歩(ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」というパターンもあります。最初に大きな要求を提示し相手の拒否を促します。その後、実際にお願いしたい要求を提示するのです。これにより、相手は一度断ったという負い目があり、次の要求は自分が譲歩する番だと考えてしまうのです。

もちろん、純粋な好意で行われている場合には受け入れて問題ありませんが、悪意を持ってこのテクニックを使っていると感じた場合はこのルールを退ける意志が必要になります。

コミットメントと一貫性

人間には自分がしたこと(言葉、態度、行為)を一貫したものにしたい(一貫していると見てもらいたい)という欲求から、このルールが発生しています。一度決めた事項を正当化したがるのはこの性質から生まれるのです。

一旦、コミットメント(イエスと言わせる)ことにより、相手の気持ちをコントロールすることも可能になります。

この本ではローボール・テクニックという事例を挙げています。例えば、下取り車に高い値がついて新車購入の契約に飛びついた後、署名する直前にマネージャーが登場して「見積もりが間違いだった」として下げられてしまったとしても、『契約する』と決めた後だと、心理的に覆し辛いということですね。

社会的証明

これは、「私たちは他人が何を正しいと考えているかにもとづいて、物事が正しいかどうかを判断する」という事です。ちょっとややこしいので簡単に書きなおすと「みんなが良いと思っているものに影響されてしまう」という事です。

よく使われるのはテレビのヤラセ(録音)の笑い声です。いかにも録音だとわかるような作り物の笑い声でも、それがあるだけで実際に番組を見ている視聴者が笑う比率が大きく高まるのだそうです。

他人の笑いという事を重視してしまい、実際のコンテンツの本質には気付かないことも重々にありえます。

好意

自分が好意を持っている知人から何かを頼まれると、ほとんどの場合了承しますよね。それは好意というルールが設定されているからです。

ちなみに「アメリカの法廷弁護士の最も大切な仕事は、依頼人が陪審員から好かれるようにすることである」と言っている人もいるくらいです。

この「好き」についてもいくつかの理由で説明されています。
1.外見の魅力・・・外見の良い人は才能、親切心、誠実さ、知性といった望ましい特徴を持っていると自動的に考えてしまう。
2.類似性・・・意見やパーソナリティ特性、経験、趣味、出身など自分と似ている箇所の多い人を好む傾向がある。
3.接触と協同・・・よく知っている、見慣れたものに好意を示す傾向がある。

ちなみに一緒に食事をしながらお願いごとをすると承諾してもらえる確立が上がるのは、満腹感による安心と一緒のことをしている類似性、同じ動作をしている協同要素により好意が発生するからです。

権威

人は専門家や先生など、いわゆる権威がある人の発言を信用する傾向にあります。

どのくらい影響されるかというと、昔に行われた実験で、看護師に「医者からの命令です」と言い患者に致死量の薬を投与する処置を命令し、これに反対する看護師が何人いるのか調べた事があったそうです。

その結果、事前の調査で「医師からの誤った指示に従うかと思うか?」という問いに対してほとんどの看護師が「従わないと思う」と答えたにも関わらず、95%もの看護師がこの処置を施そうとしてしまったそうなのです(実行する前に研究員に止められています)。

このぐらい、権威には盲目的に従ってしまうのです。

希少性

いわゆる限定品とかレア物に魅力を感じるのは、この希少性のせいです。よく現品限りとか、あと◯台!とか書かれているのは、この希少性をくすぐって購買意欲を掻き立てているわけです。

また物量だけでなく、100年に1度の公開!というようなイベントもこの希少性を煽って集客しています。

要はどうなのよ?

人間に与える影響力の原理を解説していますので、人によく接する人、営業職の人なんかは直接的に役に立つ内容が数多く含まれています。小手先の営業テクニックなどを学ぶよりも、このような原理を理解しておいた方がいろいろな事に活用できるのでオススメだと思います。

逆に、よく騙されるとか、欲しくないものだったのになぜか買ってしまうことが多いとかいう人は、どのような原理でその気持ちになってしまうのかを理解できるようになるかもしれません。

とにかく、人の心理を知っておくことは日常生活でいろいろと気付くことも多くなると思いますので、450ページとなかなかのボリュームですが、ゆっくりと読んでみると面白いと思いますよ。