「慣れたらもうトレーニングじゃない」、室伏広治から学ぶ自分を超えていく力

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僕、昔からハンマー投げの室伏さんが好きでしてね。YouTubeで室伏広治で検索すれば、かなり面白動画が上がってるので興味があれば探していただきたいんですが、確かに霊長類最強クラスの生命体だと思うんです。

まぁ、バラエティではネタとして扱われることが多いんですが、ドキュメンタリーやスポーツニュースのインタビューだとさらに凄さがわかります。

相当昔ですが、「ナンだ!?」という番組でインタビューされた書き起こしがありまして。
室伏広治が語る独自のトレーニング理論

この中で、室伏さんはこんなことを言っています。

「トレーニングっていうのは、反復すると効果があるっていう風に思うじゃないですか、現に筋肉としては反復したほうが、つくかもしれないですけどでも、運動としてはちょっと厳しいと思うんです。慣れてしまったら、それはもうトレーニングとは言わない。反復しないようにするにはどうしたらいいか、ってことで毎回違うパターンにしてる、自分が読めないようにする、で、慣れてしまったらもうトレーニングだと僕は言わないようにしてるぐらい。慣れたら練習じゃない、出来てるんですから、練習じゃないじゃないですか、だから慣れないほうがいいんですよ」

この書き起こしの中にも載ってるんですが、室伏流握力トレーニングってのがあって、広げた新聞紙を片手でクシャクシャって丸めるトレーニングがあるんですね。

いわゆるこんなん。これって、まったく同じ筋肉を使うことはありえないので、慣れが発生しないんです。毎回、違う筋肉を使うんですよね。おそらく室伏さんは「筋肉」という大雑把な括りでは無く「筋繊維」一本一本というディテールにこだわって鍛えている感じがします。

これって運動に限らず、自分の能力値を上げていくための大きなヒントなんじゃないかと思います。

さらにインタビュー内でもう一言。

南原「でも普通考えたら、そのとき怪我したらどうしよう・・・とかなりませんか?なんか慣れないときに」
室伏「慣れたときに怪我するじゃないですか、慣れた頃になんでも、怪我とかね」

慣れると油断するんですよね。これも実生活でよくある話です。

あと、こっちのインタビュー記事も面白いです。
世界陸上直前! ハイハイ・トレーニングで頂点を目指すハンマー投げの室伏広治選手

というわけで、前置きが長くなりましたがこれからが本題。

室伏広治 超える力
超える力

マッスル教の教典を購入しました。

基本的には競技の話が多いのですが、実生活に演繹できる内容が各所に散りばめられています。ちなみに室伏さんは大学の博士課程を終え、2011年4月から中京大学の准教授の職に就いています。そのためか論文的な内容も入っており、単なるアスリートの自伝ではない教典になっています。

私のウォーミングアップは、まずハンマー投に必要な基本的な「動きづくり」と神経や筋肉を呼び覚ますような「身体の動き」から始める。

~中略(ウォーミングアップ時点で、大学生のアスリートでもすぐに息が上がるぐらいハードらしい)~

こうしたウォーミングアップを行うことで、身体の土台(ファンダメンタル)が強化され、いわゆる身体の安定性(スタビリティ)が高まり、筋肉などの動きがスムーズになる。身体が正常に機能して動くなかで筋力(ストレングス)強化を加え、使えている筋肉と使えていない筋肉を確認し、どのように稼働させるかというフィジカルトレーニングをおこなっていくのである。

34~35ページから引用

一つ一つ丁寧に、自分の身体から発せられるシグナルを認識してトレーニングをおこなっていることが読み取れます。すべての行動に必然性があり、何一つとっても惰性でおこなっていません。僕はよく「意識的に」という言葉を使いますが、室伏さんはまさに毎日の行動を意識的におこなっているのでしょう。

高校時代、父からは一流選手のビデオを見なさい。あまりうまくない選手の投げ方は見なくてよいといわれたことがあった。だから下宿では時間が空けば、世界記録保持者のセディフや当時世界歴代2位の記録を持つリトヴィノフのハンマー投のビデオを見ていたものだ。

あるとき大会で同級生のハンマー投の応援をするとき、私だけ一人背を向けていたことがある。「なんだ室伏、お前も応援しろ」と注意され、思わず「親父からいいものを見ろ、悪いものを見てはいけないと言われているので」と答えたら、驚かれた。

131~132ページから引用

ここまで正直に言う必要は無いと思いますが、やっぱり時間は限られているので、可能な限り良いもの(良いと思えるもの)に優先的に時間を配分できるようにしなければいけないですよね。本や論文もそうでしょう。このあたりも意識的にやらないと、悪いというか楽な方に流れてしまうんですよね。

身体の癒着を取るトレーニングも重要だ。
わかりやすい例が、手の小指だけを曲げようとすると、薬指も曲がってしまうことがある。これが癒着である。これを意識して小指だけ曲げるように集中すれば、癒着を取る訓練となる。

~中略~

癒着を取る訓練をしていると、歳を重ねても身体感覚が鋭敏になり、身体の部位を自由に動かすことができる。私は背骨の一つ一つを動かすこともできる。余分な動きがなくなれば疲労が蓄積しにくくなり、ケガの予防にもなると考えられている。

177~178ページより引用

ここまで考えてトレーニングに取り組んでいるアスリートがどれだけ居るのかと。必然性のある訓練を意識的に行うからこそ、長い期間第一線で戦える身体能力を維持していけるのでしょう。

とにかく超人室伏広治ができあがるまでの経緯や行動などが盛りだくさんの内容になっています。単なるアスリートの自伝ではない、一流になるために、そして一流を維持していくための考え方を知りたい人はぜひ読んでみてください。この本に書いてあることを自分の環境に置き換えて、実行し続けられれば周りより一歩抜けた存在になれるかもしれませんよ。


超える力

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