仲間を輝かせるためにできること、そして仕事を待つという考えや美学が学べる「高倉健インタヴューズ」

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ここ数日、高倉健さんのニュースが各種メディアで流れまくっています。

それがきっかけと言ったら不謹慎と言われてしまうかもしれませんけれども、実は、お恥ずかしながら健さんの映画ってあまり観たことないのですが(そもそも映画自体あまり観ないのですが)、なぜか書籍は自宅に有りました。おそらく2年前ぐらいに買って読んではいたはずなのですが内容をあまり覚えていなかったので読み直してみました。

高倉健インタヴューズ
高倉健インタヴューズ

この本はカッチリとした対談形式というよりも、1995年から2012年の18年間に渡り、著者が高倉健さんにインタビューした内容やエピソードを、補足情報や共演者・関係者の声も加えた上で一冊にまとめたものです。世界の高倉健さんの発言に僕みたいな若造が批評するなんておこがましいので、心に刺さった箇所を引用して、それに対しての感想を書いていこうかなぁと考えている所存であります。

まずはこれ。

『鉄道員 ぽっぽや』では共演するみんなが気持ちよく芝居できるように気を使っていたところがありました。相手役が速く動いているように見せるには自分がゆっくり動く、あるいはその人を全面に出すためには僕が少し後ろに動く・・・。しかし、若いうちはそんなことがなかなかできませんでした。どうしても「俺が俺が」と自分が前に出ようとしてしまいますから。周囲を見渡せるようになったのは肩の力が抜け、一緒にやっている方の気をいただいて役を演じられるようになってからのことです。それでも僕にはまだ演技のほんとうに深いところは全然わかっていません。

高倉健インタヴューズ50ページより

これ凄くないですか。やっぱり演者って前に出たくなるんですよ。僕レベルの話で恐縮ですけど、例えばパネルディスカッションとかで、他のパネラーよりも話が長くなっちゃったりする場合もあるわけです。引いて待つという行為だけでも意識的にならないとできないのに、相手役の動きを際立たせるためのサポートまで考えているなんて。そして、それでもまだ「ほんとうに深いところは全然わかっていない」と言ってしまう。

社会は人間関係で成り立っていますので、目の前の人の行動をサポートできるようになればお互い良好な関係が続けられるのかもしれませんね。

続いてこれ。

出る作品を選ぶなんて偉そうなことはしてません。待ってるんですよ。次から次へと出てたほうがある意味では楽です。それよりも待っているときのほうがずっとつらい。

高倉健インタヴューズ48ページより

「待つ」ってすごいです。選ぶって言葉はどうしても上から感がありますが、待つっていう言葉には忍耐とこだわりを感じます。僕は来た仕事はスケジュールさえ合えば全部受けてますが、確かにその方が楽ですよね…。

そして、このような言葉もあります。

選ぶ基準ですか? もちろんホン(脚本)の中身を読んで決めるのですが・・・。僕はギャラの額を大切にします。どれだけ僕のことを必要としているのかはギャラでわかりますから・・・。それと、出演するときにはすべての権利を戴くようにしています。出演料はもとより、再使用のお金、テレビでの放映、ビデオやDVDにいたるまで、今まで日本映画の俳優さんが取ってこなかった権利をひとつでも多く戴きます。だから権利については出演前に必ず交渉します。そして、撮影に入る前から多くのものを背負っていれば、励みになりますし、自分を追い込むことにもなる。「今日はつらいから撮影をやめる」なんて絶対に言えなくなります。

高倉健インタヴューズ88ページより

さらに、

「餌の獲り方はものすごく大事なんじゃないでしょうか。まずい餌食ってるやつ、まずい餌の獲り方をしているやつは、姿も悪くなるし、肉もまずくなる。ハイエナとライオンのように。ライオンは無理でも狼ぐらいにはなりたいですから。そういうことって人間にも通じるんじゃないですか。みんなそうじゃないでしょうか。俳優だって、汚い餌の獲り方をしているやつはやっぱりだめですよね」

高倉健インタヴューズ164ページより

仕事への考え方、報酬の受け取り方についての珠玉の言葉だと思います。もう、耳が痛くて痛くて泣きそうです。これってホント、どんな分野でも言える話ですよね。

僕の自覚している点として「お金の受け取り下手」というパーソナリティがあります。別にアフィリエイトやGoogle AdSenseなどの報酬は普通に受け取れるんですが、直接、人や会社からお金を受け取るのが苦手なんですね。なので、コンサルサービスというメニューを作って、お金を受け取る訓練をしているわけですが・・・ああ、これは完全に余談ですね。

最後にこれ。

高倉健が出演した映画は204本、すべてを見ることはできなかった。だが、180本は集めて、そしてチェックした。そのなかで彼がしゃべるセリフをカウントしたところ、「すみません」「お願いします」「ありがとう」がベスト3だった。

ただし、同じ言葉ではあっても、場面によって意味は違う。

「すみません」ひとつを取っても、他人の家を訪ねるときの挨拶であったり、他人から好意を受けたときの感謝だったりする。時には他人に何かを頼むときの呼びかけでもある。そして、彼はシチュエーションが変わるたびに、声のトーンやボリュームを変える。極端に言えば、彼はこの3つの言葉を駆使することで一本の映画に主演することも可能なのだ。演技の上手さとは決して長ゼリフや名文句をしゃべることではない。「すみません」「ありがとう」といった普通の言葉に情感をこめることだ。高倉健は自然にそれができている。

高倉健インタヴューズ143ページより

同じ言葉であっても文脈によって意味合いがまったく変わるというのは、映画の世界だけでなく現実社会でも一緒ですよね。

僕、ここまで書籍の内容を引用することはあまりないのですが、それだけ心に刺さる(自己反省も含めて)言葉が数多く綴られています。このブログ記事でご紹介したのはほんの一部ですが、書籍にはもっとたくさんのインタビューやエピソードが掲載されていますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。高倉健さんの凄みが伝わってきますよ。


高倉健インタヴューズ

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