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日本の将来について、夏野剛さんの講演を聞いてきたので内容をシェアするよ

2015/06/03

以前、この記事でご紹介した一般社団法人Webマーケティング協会の設立記念パーティ兼第一回セミナーが2015年6月2日に開催されましてですね。そのメインコンテンツである、夏野剛さんの講演が非常に勉強になったのでシェアしたいと思います。

Webマーケティング協会

ちなみに話を聞きながらスライドと内容のメモをしているので、もしかしたら趣旨と違っている内容が含まれていたり、漏れがあったりするかもしれません。その点だけご了承ください。

ネットワーク・ITが及ぼした社会構造の変化

日本はこのままいいのかということを今一度考えてもらいたい。

この失われた20年。日本のGDPの成長は2%しかしておらず、2009年に中国に抜かれて世界3位に落ちた。アメリカはこの20年間で何%成長していると思いますか?20%?50%?100%?150%?なんとアメリカは200%も経済成長していて、20年間で経済規模は3倍になっている。

それだけの差を生み出している原因は何か

20年前から日本の人口はほとんど変わっていないが、アメリカの人口は2億6600万人から3億3200万人に増えている。200%成長のうち40%ぐらいは人口増加による要素が強い。残りの160%は生産効率のアップにより実現している。アメリカの成長はITが牽引している。

逆に日本は社会の効率を上げることにまったく寄与していない。良い方向に考えれば、まだポテンシャルは残っているということ。

21世紀、3つのIT革命が進行中

第一の革命「効率革命」

-ビジネスのフロントラインがネットへ展開(レコード業界・音楽の配信、出版業界とか)
-リアル市場+ネット市場
-顧客接点の大変貌

なんでも買える、すぐ届く世界が実現されている。アマゾンが日本でサービス開始したのが2000年。この15年で凄く便利になった。こんなことは当時からは考えられなかった。参考書を注文したらすぐ届く。翌日配送は当たり前。アマゾンプライムなら当日にも届く。参考書はシーズン決まっているから倉庫に常に置いてあり、即座の対応が可能になっているらしい。

国内線航空券(ANA、JAL) は売上の75%がウェブから。ビジネスの形態がガラッと変わってしまった。効率化されて生産性は上がっている。

ITを通じた効率化に対抗・拒否した業界は、業界自体がシュリンク(縮小化)している。

第二の革命「検索革命」

-個人の情報収集能力の飛躍的拡大
-研究開発プロセス革命
-にわか専門家量産システム

検索がない時代(20世紀卒業)の論文のデータ収集がどれだけ不便だったか思い出して欲しい。3ヶ月かけていた情報収集が一晩で可能な時代に変化した。経営の仕方も変わっているはず。情報収集の方法から変わっている。社員に調べさせるのではなく、専門家を発見してくる。提携、買収などを行えばいい。

そもそもインターネット接続型の携帯電話を最初に作ったのは日本(いわゆるガラケー)。その技術を高度化させていったものがスマートフォン。ガラケーvsスマホの構図はそもそもおかしい。本質は一緒。

第三の革命「ソーシャル革命」

-個人の情報発信能力の飛躍的拡大
-TwitterやFacebookによる「共振」

単にマーケティングツールとしてSNSを使いましょうということではない。優秀な人間が100人居るからいいのではない。日々の成長や学びを共有することで「知」が溜まる。一人ひとりの個人の気付きがベースにないと意味が無い。自立した個人が発見し、組織にフィードバックされるから成長する。それこそが組織力の真の意味。指示通りに動いていたら気付きがなく、フィードバックもない。

個々人の情報収集能力、発信能力がこの20年で全然違う。人類の進化が加速し始めた最初の20年だと思う。技術開発、ヒトゲノムの解析、こんなに早く完了するとは誰も思っていなかった。世界中の専門家がネットワーク化され、シェアしている。すごくニッチな分野でも、日常生活レベルでもあっという間に「知」は伝播していく。スピード感がまったく違う世界に生きている。10年前にはソーシャルメディアもなかった。10年前ですらまったく違う世界。

三つのIT革命がもたらしたもの

-複雑系的知識ネットワークの現実化
・「三人寄れば文殊の知恵」から衆知のアグリゲーション(集約)による創発、自己組織化の現実化
・外部経済活用のためのオープンインターフェース
・「外部脳」 もはや暗記自体が意味を成さない。デバイス(スマートフォンやタブレット)の記憶の方が優秀。

-個人能力の最大化
・100人の平均的な人間よりも一人のオタク
・「組織力」の定義変化
・組織階層の無意味化→フラット化

-多様化社会へ
・拡大する標準偏差、ロングテール

近いうちに人間の脳とデバイスの最後のワンフィートも無くなるはず。30年以内には誰かが講演で話した内容なのか、Web上にアップされた原稿なのかの違いも脳内で認識できなくなるのではないか。

クリエーション・イマジネーションの分野を鍛える方が重要。暗記という無駄な労力を減らして、前者2つの能力を伸ばすべき。

どういうマーケティングをするか。20世紀のロールモデルとはまったく違っている。21世紀のパラダイムで思考しなければ意味が無い。

変化を共用される社会システム

-組織体制の変化
・フラット化せざるを得えない組織構造
・機能しない終身雇用、年功序列、新卒一括採用
・個人力を最大化する組織の必要性

変えていかなければいけない。変えていくのを怖がっていたら日本(会社・社会)が衰退する。

-意味の無くなる平均値議論
・平均が高いことよりも、突き抜けた人材の活用
・多様性を前提とした教育システム
・ゆとり教育は悪か?

F1、M1層などで区切れない。自分に最適なものを見つけられるかどうかで人生が変わる。偏差値ではない。ユーザーを一括りにするのは暴論。属性ではなく趣味性。そういう時代になった。

-リーダーの役割変化
・利害調整型から率先垂範型へ
・リーダーの役割はより重く、辛いものへ

技術的にはもう全部できる。何をやるのかを決めるのがリーダー。決めることをやると敵も増える。でも集団が生き残ることを考えたら、決める事をしなければいけない。

ニッポンの将来のために

-日本は大きなポテンシャルを持っている
・豊富な資金力(1600兆円超の個人金融資産)
・世界トップレベルのITインフラ
・教育水準の高さ、労働意欲の高さ
・企業に比較的余裕がある
・眠れる技能もたくさんある

労働力・技術・お金(ヒト・モノ・カネ)、三種の神器が国内にある。あるうちに手を打つべき。上場企業の内部留保も330兆円あると言われている。

-一方で弱い部分がたくさんある
・語学能力の低さ
・個性軽視、議論軽視、予定調和好き
・どこか他人事でも許されるぬるい社会。

シルバーマーケティングはほとんど意味がない。そもそもお金使う気がない。

イノベーションの源泉は摩擦。摩擦がなければ議論がなければイノベーションが生まれない。極めて大事。これまでの甘えを少なくともリーダーから排除すればまだまだ伸びる余地あり。世界をリードする日本へ。

残り時間は限られている。今後の日本は人口が急速にしぼんでいく。生きながらえる組織は、毎年新しい価値を生み出さなければいけない。去年と同じ仕事なら、人口がシュリンクしている分、衰退している。日本に残されているチャンスは数年。一緒に頑張りましょう。