9月28日に「複業のトリセツ」という書籍が発売されます。
今まで僕は、どちらかというとインターネットを中心とした解説書を書くことがほとんどだったのですが、今回はビジネス書のカテゴリに入ってくる内容だと思います。
もちろん、今の複業(副業)環境とインターネットは切っても切り離せない関係なので、インターネットを活用した内容に多くのページを割いています。ただ6割ぐらいの内容については、現在の日本の経済環境や、未来のテクノロジーの発展についての予測などを織り交ぜて、ネットに偏らないように気をつけて書きました。
言い換えると「データに基づいた現状把握や予測」や「複業(副業)を実行するための考え方」が6割、「ノウハウ」や「メソッド」が4割の配分になります。
なぜこのような配分をしているかというと、いくら方法論を学んでも時代の変化によって使えなくなってしまう可能性が高いからです。気づかぬうちに時代は激変しています。今しか使えないノウハウよりも、時代の流れを理解し乗っていく考え方を身につけた方が読者のためになると考えらからです。
もしかしたらブログ飯の書き方に似ているかも知れません。あの本もテクニックの紹介を極力避け、思考法や心構えを重点的に書いています。
知識を得て行動している人と、知識はあるものの行動に移していない人との差は明確です。知識すらなければ、変動する時代の波に飲み込まれてしまうかも知れません。ぜひ本書を読んで、2020年以降の時代に対応する準備をしてください。
というわけで、複業のトリセツの「はじめに」と「あとがき」を先行公開したいと思います。本文はデータと考え方とノウハウ、そして「はじめに」「あとがき」は想いです。この想いを感じてもらって、これは面白そうだぞと思ったらご予約いただけると嬉しいです。
そうそう、「複業と副業の違いってなんなのさ」という質問を受けることが多いので、先に本書での複業の定義を載せておきます。
複業・・・複数の職務に就いており、すべて本業という考え方で働いている状態
副業・・・本業の傍ら、副収入を得るために働いている状態
もちろん別の解釈、定義をしている人もいると思いますが、本書ではこのような考えで言葉を使っているとご理解ください。
はじめに 一億総複業時代のはじまり
昨今、「副業」という言葉がよく使われるようになりました。この本を手に取っていただいたあなたのまわりでも、副業に興味を持っている、あるいはすでに副業を始めている人も出てきているのではないでしょうか。
確かに以前から副業に寛容な企業もありました。リクルートやIT関連企業など、比較的、新しい働き方を提唱する企業がそうです。しかしながらここ数年、ロート製薬やコニカミノルタなどの歴史の長い企業、金融機関の中で先駆けて新生銀行が副業解禁に舵を切りました。
副業容認の大きな要因の一つとして、政府が掲げる「働き方改革」という方針が挙げられます。2018年1月には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しました。同時に同省が提示していた「モデル就業規則」を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設しました(第14章第67条) 。
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」については一章で詳しく解説しますが、モデル就業規則の内容が「原則副業禁止」から「原則副業自由」に転換されたわけです。労働者が自由な働き方を選択できるようになると、企業側も一社に縛り付けているような雇用形態では優秀な人材をつなぎ留められない時代に突入してくるわけです。
とは言え、副業OKと促されても、いきなり副業を始められる人は決して多くありません。週に3日ずつ複数の企業に勤務する、本業の時間外にアルバイトをする、自分の知識や経験を活かして講演する、情報発信して広告収入を得る、自作のアクセサリーを販売する、AirbnbやAnycaなどのシェアリングサービスや、マンションを購入して賃貸業を営む、などなど副業には様々な種類があります。
私は自分の力でお金を稼ぐ力を身につけることは、これからの激動の時代を楽しく生き抜く上で非常に重要な要素だと考えています。会社に勤めながらも、本業以外の仕事でお金を稼ぐことができたなら、稼ぐための準備をしていたなら、あるいはコネクションや能力を伸ばしておいたならば、急激な時代の変化に対応できるのです。
もっと言うならば、本業と副業のダブルワークだけでは足りません。本業と副業に加え、第三、第四の収益形態を組み合わせる「複業・パラレルワーク」の考え方が重要になります。
この書籍では、現在の日本の副業環境の解説から副業で収益を得るための方法、そして実際に複業によって多様な働き方を楽しんでいる人からのインタビューなど、あなたが一歩踏み出していける情報を提供していきます。
本は読むだけでは意味がありません。実際に行動に移せるように具体例を織り交ぜて執筆しました。本書がみなさんの変化の手助けになれば幸いです。
目次
第一章 副業を取り巻く環境の変化
一 副業新時代のはじまり
二 みんなこっそり副業してる
三 副業禁止でも準備はできる
-情報発信力を鍛える
-自分を中心としたコミュニティを運営する
-自分の趣味がお金にならないか調べる
-異業種交流会に足を運ぶ
四 お金を得ることだけが副業ではない
-スキルアップ
-人脈構築
-リスクマネジメント
五 うまい話に気をつけろ
六 必要経費で学びや経験を得られる
第二章 こんなにもある副業の種類
一 自分に合った副業のタイプは何かを知ろう
二 時給型副業
三 能力給型副業
-1「労働者側のメリット」転職することなく他社の業務を経験できる
-2「会社側のメリット」人材の流出を防ぐことができる
-3「会社側のメリット」優秀な人を採用するチャンスが増える
-4「会社側のメリット」新たな経験を得た社員による相乗効果が見込める
-5「労働者・会社側双方にメリット」評価制度が変わる(柔軟になる)可能性が高まる
四 不動産や株式といった投資型副業
-株式投資
-不動産投資
五 シェアリング・エコノミー型副業
-シェアリング・エコノミーの具体例
六 資格活用型副業
-ファイナンシャルプランナー(FP)
-宅地建物取引士(旧称:宅地建物取引主任者)
-ベビーシッター
-審判員
-インターネット副業
第三章 インターネット活用によるノーリスク副業
一 インターネット副業を勧める3つの理由
-1金銭的リスクが著しく小さい
-2複数の収入源を並行して創り出すことが可能
-3必須スキルである情報発信力を身につけられる
二 インターネットを使ったビジネスの種類
-ブログ・ウェブサイト運営による広告収入型副業
-ブログで広告収入を得るために必要な5つのポイント
-クラウドソーシングを利用したスキル活用型副業
-Kindleやnoteなどプラットフォームを利用した作品の販売
-オンラインサロンを中心としたコミュニティ運営
-オンラインショップを運営する
-動画配信による副業
三 価格設定の重要性
-購入者の利益の最大化が大前提で、その上で自分の利益を追求する
-値下げをせずに再生したテーマパークの事例
四 情報発信において重要な2つのポイント
-価値を提供して、対価としてお金をいただく意識を持つ
-自分の好きなこと、得意なことを発信する
五 インターネット副業の課題と対処法
六 継続こそが成功の近道
インタビュー
-クラウドソーシング副業を成功させる4つのステップ -利倉夏実さん
第四章 1億総複業時代に向けて
一 縮小していく日本経済
-進行する高齢化社会
-スタグフレーション(物価の上昇と実質給与の低下)に突入する日本経済
-2019年消費税10%化と2020年以降の日本
-異次元緩和による通貨供給量(マネタリーベース)の増加
-東京オリンピック・パラリンピック後の景気減退
-円の価値がいつまでも一定だと思っていませんか?
二 二極化する日本の未来
-所得格差
-地域格差 ~人口減、高齢化、給与格差
-教育格差 ~子どもの貧困と学歴による生涯賃金格差
-世代間格差
-情報格差
-負のスパイラルから脱却するために
三 3つの財布で300万円ずつ稼ぐ意識を持つ
四 競争相手は誰か
-普通の会社員でも十分にできる
五 1億総複業時代に向けて、未来を予測する必要性
-人はいつまで通販サイトでモノを買うのか
-インターネット広告への資金の流れは止められない
-コンテンツが無料化していく時代と、個別対応による差別化・高額化
-人は不便さを解消するためにお金を使い、非効率を楽しむためにお金を払う
-バーチャルリアリティが生み出す未来
-努力が無駄になる可能性
第五章 複業を実践している人たち
・サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部 サイボウズ式編集長の藤村能光さん
・ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長の島田由香さん
・株式会社ドリップ 代表取締役 CEOの堀口英剛さん
・株式会社ドリップ 代表取締役 COOの平岡雄太さん
あとがき
ここまで本書をお読みいただき、誠にありがとうございました。昨今、副業、兼業、複業、パラレルキャリアと、さまざまな呼び名で新しい働き方を模索する動きが活発化しています。とはいえ、その新しい働き方にチャレンジしている人はまだまだ多くありません。
本文中にも書きましたが私はよく「知っているけどやらないことと、知らないからできないことはまったく違う」という話をします。知識を保有したうえで、やるかやらないかを「自分の意志できちんと選択している」ことが重要なのです。
自分で選んでいる生き方と、誰かの判断に流されている、あるいはそもそも選択肢があることすら気付かない生き方では1年後のポジションは大きく変わってくるでしょう。
人間は自分が認識できる範囲でしか選択できません。
自分が経験している、あるいは他者の経験(歴史)を学んでいるから、自分の望む未来の予測が行えるのです。視野が広がり、選択肢の幅が広がり、進む方向を選ぶことができるようになれば、自分の意志で生きている時間が増えていきます。結果として人生の自由度が上がるわけです。
自分の能力を高めたい、もっと豊かな暮らしをしたい、人脈を広げたい、老後のために蓄えを増やしたい。複業の方法や目的は人それぞれ違います。ポジティブな気持ちで複業に取り組むことも、ネガティブな恐怖心から副収入を得ようと考えることも自由です。そして正解もたった1つではありません。
世の中にはたくさんの事例が溢れています。その成功パターン・失敗パターンを学ぶことで、その中から「自分にとっての正解」を選択することができるようになります。本書では数多くの副業の紹介、複数人のインタビューなど、限られたページ数の中で可能な限りの選択肢を提案しています。
新しい何かをはじめるのか、現状のままの生活を続けるのか、選ぶのはあなたです。
「もう40代だから」、「もう50代だから」と不安に思う人もいるでしょう。安心してください、手遅れなんてことはありません。最初はみんな初心者です。スタートしようと思ったタイミングが、あなたの人生の中で一番若い時期です。
もう一度言います。今が一番若いんです。
後回しにすればするほど、選択肢は狭まります。本書の解説している複業であれば勇気なんて必要ありません。なぜならリスクを極限まで下げた複業を推奨しているからです。あなたに必要なのは知識と、ちょっとだけの行動力です。一度動き出せば、自転車のように、転げ落ちる雪玉のように加速度が増していきます。ぜひ一歩、前へ踏み出してみてください。
その一歩のきっかけが本書になれたのであれば、これほど嬉しいことはありません。
ご予約はこちらからぜひ