久々の読書感想文カテゴリの記事ですね。
今回の書籍は「医者には書けない!認知症56のヒント」というKindle ダイレクト・パブリッシングを利用して発売されている、Kindle本です。これからの高齢化社会に向けて、誰もが避ける事ができない介護について実際の介護者の目線から書かれた書籍です。
介護士や介護コンサルタント、あるいは有名人の介護について書かれた書籍はそこそこあるのですが、一般の人が自分の体験をベースに書いた本というのはあまり見かけません。しかも筆者の母と祖母のダブル認知症介護。しかもしかも500km離れた遠距離介護。しかもしかもしかも介護離職。そして祖母の死についてなど、Kindle本とは思えない70,000字を超えるようなボリューム感満載の内容になっています。
このブログで紹介するには珍しいジャンルの書籍なのですが、実は筆者の40kaigoさんは僕のコンサルを最初に受けてくれたクライアントさんなんですね。当時の相談内容は運営サイトのさらなる収益化がメインだったのですが、ちらっと電子書籍の話もしたようです(僕は覚えてませんでした・・・、すみません)。面談の一ヶ月後あたりに、コンサル時の電子書籍の話を思い出して、そこから今まで書いたブログ記事を再編集したり、新たに書き下ろしたりしたそうです。
面談をおこなったのが2014年8月上旬で、本格的に書き始めたのが9月、そして2015年1月1日には発売という、かなりスピーディーに動かれています。やっぱりコンテンツの積み重ねがある人って強いですよね。
実際に読ませていただいたのですが、僕は介護のことについてはまったくの素人なので、うんうん唸りながら読ませていただきました。特に印象に残ったのが以下のフレーズです。
認知症の症状である徘徊や妄想、お薬について医学的視点で語っても意味がありません。それは専門家であるお医者さんや薬剤師さんが語るべきで、わたしが改めて書く事ではありません。お医者さんや介護職の方には書けない、介護者側の目線で書く事に意味があります。
認知症においては、すべて教材になるものです。認知症は完治しません。医者のいう事やテレビや本で書いてあることが、自分の父や母、おじいちゃんやおばあちゃんに効くかというとそんなこともありません。
認知症は完治しません。1週間どころか、数年から数十年単位でお医者さんとおつきあいすることになります。病院が近くにあるからとか、いつもあのお医者さんにお世話になっているからという理由で、お医者さんを選んではいけません。妥協してはいけないのです。
著者の40kaigoさんからは、「納得できる医者選び」と「一人で背負いすぎないこと」という点をとにかく伝えたいんだという意志が感じられる内容です。
もちろん、僕が素人すぎるのですが、やはりご自身で介護を経験しているということから、初めて聞くサービスも数多く掲載されています。
・「認知症看護」 のスペシャリストである「認定看護師」
・訪問薬剤師
・認知症110番
そして、経験者だからこそ言える言葉が以下の2つ。
・認知症は治るのではなく改善
・全力で介護してはいけない!
このような内容が56のヒントという形式で紹介されています。さらに57~59はおまけのヒントになっており、介護とアフィリエイト(個人での収益化)の親和性や、家族の介護をしている同じ環境のブロガー同士の繋がりの大切さも述べられています。なので実際には59のヒントが記載されています。
医師・ケアマネージャー選びから介護体制作り、介護者のメンタル面、介護者の働き方、認知症のいろんなヒントなどをまとめた、介護者の2年間の学び(書籍やセミナー、そして実体験)の集大成となる書籍になっています。介護は今後、僕ら世代にとって避けては通れない道です。何かがあってから学び始めるよりも、今のうちに知識だけでも得ておくことで初期の対応も変わってきます。60歳を超える親を持つ人は一読しておくと良いでしょう。
で、余りにもべた褒めだと自分のクライアントだからだろうと思われる方も居ると思うのでいくつか個人的な改善ポイントを(自分のクライアントだから依怙贔屓するのは当たり前ですけどね)。
1.文字ばかりなのでイラストや写真が欲しいです。ボリューム満載だけに、もう少し読者視点での読みやすさを求めても良いかもしれません(僕のブログも人のこと言えませんが)。
2.第三者の目が入っていないので、読みづらい箇所が多少見られる。友人知人に読んでもらってブラッシュアップするとさらに良くなると思います。
3.2の項目に付随しますが、項目の順序の再考。ヒントの順番がこれでいいのかも検証してみると良いと思います。もちろん検証した結果がこの並びなのだと思いますが。
ただ、何度もいいますが、個人で、Kindleで、ここまでのボリュームのある内容はすごいと思います。多少のメンテナンス、および足りない内容の加筆、イラスト等の挿入さえできれば紙の本でも充分に需要があると思います。もし興味がある出版社さんがいらっしゃればご連絡ください。著者に繋ぎます。