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天才と凡人を分ける要素

2016/09/21

ベンチプレスとスクワットがあれば人生におけるほとんどの問題は解決できると思っている染谷です、みなさん今日も元気に朝から筋トレしてますか。

筋トレって面白いもんで、意図を持ってトレーニングを続ければ少しずつ持ち上げる重量が増しますし、ちょっとサボると身体が自動的に省エネモードに戻そうとするので(筋肉は代謝が多いので)筋肉量が落ちて思ったように重量を扱えなくなるんですね。僕の通うジムではレッグプレス500kgとか平気でやる人が居るのですが、どれだけ積み上げてきたんだと思いながらハムストリングスを鍛える毎日です。
 

さて話は変わりますが、最近こんな本を読みまして。

究極の鍛錬

究極の鍛錬

ジョフ・コルヴァン
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ゴリッとしてて良いタイトルですね。マッチョ的な印象を強要するタイトルの書籍ですが、実はこの本には天才と凡人を明確に分ける秘密が各種データや事例と共に解説されています。

Mr.凡人の僕としてはやっぱり天才に憧れるわけですよ。天才の爪の垢を煎じて飲みたいわけです。天才の爪の垢を探すより、本を一冊読むだけでその秘密が分かったら安くないですか。

というわけで、この記事ではその秘密を少しだけシェアしていきたいと思います。

才能は過大評価されている

1992年にイギリスの研究者グループが「生まれつき才能のある人間」を探し出す調査をしています。研究者たちは257人の若者を能力別に、音楽学生になった音楽エリートから6ヶ月ほど楽器演奏をしたが辞めてしまった人まで、5つのグループに分けて調査を実施しました。

その結果、「才能の存在はわからない」ということが分かりました。書籍内では

「最高レベルの演奏をする者に音楽での早熟の兆し -我々誰もが存在すると考えている生まれつきの才能の証し- はまったくなかった」

と明記されています。特定の才能の証明ができなかったわけです。

ただ一点、生徒が音楽的にどれだけ熟達できるかどうかを予想できる要因が見つかりました。それは「どれほど多く練習するか」ということです。音楽学校に進学するような生徒は、他の生徒に比べて純粋に1日の練習量が多かったという違いが見られたわけです。

 
え、それだけなの?と感じると思いますので、さらに事例を紹介していきます。

モーツアルトやタイガー・ウッズも普通の子どもだった

本書ではモーツアルトやタイガー・ウッズについても言及しています。二人とも誰もが認めるような天才です。天賦の才能とは彼らのためにある言葉と言っても過言ではないでしょう。

モーツアルトは5歳で作曲し、8歳の時に公式の場でピアニストとバイオリニストとして演奏会をおこない、その後数々の作品を生み出し、21歳であの「ピアノ協奏曲第九番」を完成させ、35歳でこの世を去っています。天才ですね。

ところでモーツアルトの父親レオポルト・モーツアルトは彼自身も有名な作曲家であり演奏家でもありました。父親はモーツアルトが3歳の頃から作曲と演奏の面でトレーニングを施したと言われています。音楽家であり、卓越した教師であった父親の指導のもと、モーツアルトは育ったわけです。

なお、モーツアルトの子供時代の作品の真偽については議論があるそうで、それは父親レオポルトが修正を加えていたという説があります。モーツアルトが若い頃(特に10代まで)の作品にはモーツアルトの独創的な楽曲が含まれていないとのこと。従来の楽曲を模倣しアレンジすることで、若きモーツアルトのトレーニングとなり、モーツアルトの代表作である「ピアノ協奏曲第九番」やその後の作品に繋がっていったと本書には書かれています。

でも、3歳からトレーニングを始めたモーツアルトが「ピアノ協奏曲第九番」を生み出すまで、18年もの厳しい鍛錬があったことを忘れてはなりません。

 
タイガー・ウッズも同様です。教育熱心なタイガーの父親アールは、タイガーが生後7ヶ月の時にゴルフクラブを渡しています。そしてタイガーが2歳の時には一緒にゴルフ場でプレーをしています。タイガーが小学生になる頃には地元ではすでに有名で、大学に入る頃にはすでに伝説的な存在になっていました。19歳の時には、アメリカ代表チームの一員として国際的な大会で優秀な成績を残しましたが、この頃にはすでに17年以上の鍛錬が積まれているわけです。

 
どうでしょう、モーツアルトやタイガー・ウッズの実績は天賦の才能だけで説明できるのでしょうか。

天才アメフト選手 ジェリー・ライスの事例

僕はそんなにアメフトに詳しいわけではないですが、アメフト好きな人だったら間違いなく知っている超一流のレシーバーです。あれだけ激しいスポーツでありながらも、20年間も第一線で活躍できたのには理由があります。

それは「他のどの選手より、シーズン中もオフシーズンも練習に懸命に努めるから」です。

ライスの偉大な業績を支えた重要なポイントが本書にはまとめられています。ライスを偉大にしたものはいずれもフットボールの試合以外で積み上げた努力でした。

・実戦でうまくなったのではない
ライスが実施にアメフトの「試合」に費やした時間は、アメフトに関することに費やした時間の1%にもならなかった。
・特定の課題を解決するために練習を考案する
本当に必要な課題に注力して訓練を実施し、一般的に必要だと言われる目標、たとえばスピード強化などには力を注がなかった。
・けっしておもしろくない
限界まで走り込んだり、筋肉が言うことをきかなくなるまでウェイトトレーニングを続けることは決しておもしろくない。しかしこうしたことは中核をなす重要な活動である。

トップクラスのプレイヤーは意図を持って、黙々とトレーニングしているわけです。トレーニングに耐えられるだけの身体と心の強さも必要に感じますね。

一流と二流を分けるもの

世間的に見たら天才と思えるゾーンの中にも、さらに一流・二流の区分けがあります。

1990年初頭、当時、非常に優秀な音楽家を輩出することで有名だった西ベルリン音楽学校にて調査がおこなわれました。この学校は全世界から音楽エリートが集ってくるような学校で、入学するだけでも恐ろしい競争の中を勝ち残っているわけです。

この音楽学校に通う学生を、国際的に活躍しそうなバイオリニストグループ(最高)、トップグループでは無いものの大変上手なバイオリニストグループ(より良い)、入学基準が少し低い大学内の別のバイオリニストグループ(良い)に区分し、データを分析しました。

分析結果は非常に明確でした。

似通っていた項目としては「約8歳でバイオリンを始め、15歳で音楽家になることを決意」、「週に音楽関連の活動(個人レッスン、自分一人での練習、クラスでの授業)で1週間の合計時間は約51時間」という点があります。3つのグループはいずれも朝早く起床し、何時間もバイオリンを練習していました。そして生徒全員が「自分一人で練習すること」が一番重要だと認識しています。

しかし大きな相違点として、その「自分一人での練習時間」の差がありました。「最高」と「より良い」のグループは1週間平均で24時間、「良い」のグループの練習時間はたった9時間だったのです。

多くの人は認識していても実行に移せません。なぜかというと、一人でおこなう練習はおもしろくないからです。エリートの集まる大学でもそうなんです。みんなでワイワイ練習した方がそりゃ楽しいですよね。

 
さらに「最高」と「より良い」グループの場合は、まだ活力のある朝方、あるいは昼食後の早い時間帯に集中して個人練習しています。「良い」グループは日中で最も疲れている午後の遅い時間帯に個人練習をしていることが判明しています。そして上位グループほど体力回復のために、多くの昼寝をしています。

さらにさらにもう一点、「最高」と「より良い」グループの差異は、「それまで(18歳まで)の練習時間」でした。18歳に達するまで「最高」のグループは平均7,410時間練習しており、「より良い」グループは平均5,301時間、「良い」グループは平均3,420時間の練習量でした。

 
明確に累積の練習量が、そして自分一人での練習量が多い人間の方が、そして効果的な時間帯に練習している人間が業績を上げられるのです。音楽家やスポーツ選手に限らず、科学者や作家、実業界でも、何十年もの時間を捧げるからこそ輝かしい業績を残せるのです。

達人と素人の違いは特定の専門分野で一生上達するために、「考え抜いた努力」をどれだけおこなったかの違いだと本書では述べられています。

以前にみんな大好き霊長類最強覇者 室伏広治さんの本を読みましたが、本当に考えてトレーニングしてますよね。

何が究極の鍛錬なのか

すでに恐ろしい文量になっているので、ここはまとめてさらっと。

究極の鍛錬の要素

1.しばしば教師の手を借り、実績向上のために特別に考案されている
2.何度も繰り返すことができる
3.結果に関し継続的にフィードバックを受けることができる
4.精神的にはとてもつらい
5.あまりおもしろくない

究極の鍛錬では、業績を上げるのに改善が必要な要素を、鋭く限定し、認識し、意識してその要素を鍛え上げる必要があります。

タイガー・ウッズはバンカーにボールを落とし、その上を足で踏みつけ、球出しの練習を繰り返したそうです。自分の取り組んでいる課題を明確にし、うまくなるまでその課題に集中して練習し続けます。そしてできるようになったら次の課題に移るわけです。

ちなみに特定の課題の発見方法としてノエル・ティッシーという偉い人が以下のように解説しています。

3つの同心円の一番内側の円を「コンフォートゾーン」、中間の円を「ラーニングゾーン」、一番外側の円を「パニックゾーン」と名づけた。そして人はラーニングゾーンを強化することで成長する。

ラーニングゾーンとは身につけようとしている技術や能力がもう少しで手の届くところにあることを指している。コンフォートゾーンではけっして進歩は望めない。もうすでにできることだからだ。一方パニックゾーンでの活動はあまりにも難しくどやって取り組んだらよいのかもわからない。

日本語で解釈し直すと「コンフォートゾーン=簡単にできる(作業)」、「ラーニングゾーン=難しい(課題)」、「パニックゾーン=できない(問題)」となります。作業を繰り返したって能力は向上しません。背伸びしないと解けないような課題に取り組むことで自分の能力を向上させることができます。できないことはいくら考えてもできません。

効率的に能力を伸ばしていくためには、いかに「難しい」の範囲を増やして解決していけるかにかかっています。解けない問題を理解できるパーツにまで分解し、課題化することで「できない」から「難しい」の位置に動かすこともできます。

楽しいだけでは一流にはなれない

4と5に気になる要素が書いてあります。それは「精神的にはとてもつらい」と「あまりおもしろくない」というフレーズです。

僕は自著などで「自分の得意分野や楽しいと思える分野を選ぼう」と言っています。自己弁護するわけではないですが、これから何かを始めたいと思っている人は、まず続けることが重要ですからこれでいいと思うんです。

でも、その分野を極めていきたいのであれば、苦しさや辛さに耐えて成長していく必要があります。

 
現代の天才といえば、野球選手のイチローが代表となるでしょう。そのイチローの名言でこのような言葉があります。

「たのしんでやれ」とよく言われますが、ぼくにはその意味がわかりません。

今までの内容を踏まえると、とても深い意味が隠されていると思いませんか。

まとめ

他にもこの究極の鍛錬には、天才と頭の良さの関連性、練習のモチベーションを維持するための内的要因や外的要因、イノベーションの生み出し方、ビジネスへの応用など、約300ページの書籍になっています(ちなみに今回の感想は第2章と第4章と第5章の一部を抽出しています)。

「天才=幸せ」かと言われるとけっしてそうではないでしょう。でも、卓越した結果を残したい人は知っておいた方が良い内容が盛り沢山ですので、ぜひ気合いを入れて読んでみてくださいね。

究極の鍛錬

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