最近、リモートワークとか、外出自粛の流れで、インターネットに溢れる玉石混交の情報に触れる人が増えてきてると思うんですね。
急に仕事が休業になってしまったことにより、「本業だけだと不安だから副業(サイドビジネス)で副収入を得られるようになっておくと、今回のような状況になっても安心」という声が増えてきます。
同時に「ネットビジネスを学ぶのに大金を払ったのに結果が出ない」、「質問しても答えてくれない」、「なけなしのお金だったのに騙された」という声も聞くようになっているので、2019年におこなった「あなたそれダマされてますよ」セミナーの内容を公開します。
もちろん、再現性の高い、本質的な情報を先に学ぶことができれば、それは間違いなくあなたの力になります。しかしながらすべてのセミナーやスクール、教材がそうではありません。誰でも簡単に1日30分の作業で稼げるようになるという甘いフレーズに騙される人はあとを絶ちません。
もちろん、副業やインターネットビジネスに限らず、情報の選別ができなければ簡単に騙されてしまいます。
僕もインターネット業界で仕事をし始めてそこそこ長いですが(ネット歴はパソコン通信時代から)、これまで見てきた騙されてしまう人の特徴を挙げると、大きく3つのパターンがあります。
それが以下の3つです。
- 楽をしたい
- 知識がない
- お金がない
1と2については以前にこんなブログ記事を書いたので、よく読んでいただければと思います。
ざっくり知りたいという人のために簡単に解説すると、
勉強しない人と怠け者は騙されて更にお金がなくなる。知識があれば金銭リスクは大きく減らせる。
ということです。
ちなみにこのざっくり解説しか読んでいない人は1に該当します。楽にお金を得たいと思っているから、簡単に稼げるというフレーズに踊らされてしまうのです。
結果として、2の知識不足にも繋がります。だからこの記事は長いけれど、しっかり読んでみてください。この記事を10分掛けて読むことで298,000円騙し取られないで済んだと思えば大した労力じゃないでしょう。
知識があれば情報の選別ができるようになります。ある程度知識がある人が見たらどう考えても怪しい誘いが、楽をしたくて勉強意欲がない人はうまい話に見えてしまうわけです。
逆に知識や経験があれば、能力のない人がピンチだと思っている現象がチャンスに見えることもよくあります。それだけ知識や経験って重要なんですよ。
そして意外と感じるかも知れませんが、お金持ちよりもお金を持っていない人の方が騙されている傾向が強いです。
お金に余裕がある人ってそもそも焦って稼ごうとも思っていないですし、月数十万程度の安っぽい儲け話に乗らないんですよ(巨額な投資詐欺とかには遭う場合もありますけど)。
少しでも生活を楽にしたい、あるいは一発逆転したいと思っている層がなけなしの金を集めて、怪しいセミナーに通ったり、教材という言葉を隠れ蓑にした原価も再現性もゼロのPDFファイルを買い漁ったりしてしまうんです。そして借金が膨らんで、肩を落として業界から去るか、アンチになっていくわけです。
というわけで前置きが長くなりましたが、セミナーの内容を解説しながら公開します。
目次
あなたそれダマされてますよ
普段、僕のセミナーでは時間の都合上、自己紹介しないんですがこのセミナーでは珍しくしっかりとプロフィールを書いています。
■1975年生まれの44歳
■12年間の会社員経歴
就職情報誌業界、東証一部自動車商社、東証一部不動産金融会社
7年間の採用担当者時代に約20,000人の面接
■2009年からフリーランス、2015年に株式会社MASH設立
Google AdSense公式成功事例に掲載
さいたま市産業創造財団、長野県・長野県中小企業振興センター、セブン&アイホールディングス、アフィリエイトカンファレンス、WordCamp等のセミナー・イベントに登壇多数
CBCテレビ、読売新聞、PHP研究所「The 21」、広報会議、週刊SPAなどの媒体に掲載
夕刊紙 日刊ゲンダイにて副業記事の連載
著書、監修書 33冊(2019年11月現在)
簡単にまとめると
- 12年の会社員、9年のフリーランスを経て、会社を設立
- インターネットビジネスではGoogle公式事例紹介の経験もあり
- 企業や自治体からの登壇依頼あり
- 各種メディアで副業やインターネットビジネスに関わる取材や連載を持つ
- 書籍もたくさん出してる
という自己紹介になります。自慢っぽく聞こえたら嫌なので、淡々と事実だけ紹介しています。なぜ珍しく自己紹介をしているかは、この記事の中盤以降で解説します。
脳のセキュリティホール
まず人間の脳にはセキュリティホールがあるということを認識しておきましょう。
いくら自分自身で細心の注意を払っていたとしても、セキュリティホールを突かれると簡単に騙されてしまいます。善悪ではなく、人間の脳はそういう傾向があるということを理解しておくことが大切です。
例えば有名なこの図。上下どっちが長いでしょうか?
もちろん同じです。知っている人も多いですよね。人間の目ってこの程度で騙されちゃうんですよ。
この問題はどうでしょう?
落ち着いて考えれば簡単な計算問題ですよね。でも10,000円と1,000円って思い浮かんだ人もいると思います。
一時期ネットで流行ったTypoglycemiaも、勝手に目に補正が入っている代表例です。
こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
https://dic.nicovideo.jp/a/typoglycemia
この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか
にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば
じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて
わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?
ちんゃと よためら はのんう よしろく
他にも太く大きい文字の方が細く小さい文字よりも正答と思われやすいとか、ディズニーランドのワールドバザールはシンデレラ城に向かうにつれて道幅が少しずつ狭くなっていて奥行きを持たせているとか、そのシンデレラ城のタイルは上の方になればなるほど石のサイズが小さくなって、なおかつ後退色である青系の屋根にすることで実際よりも高く感じさせるとか、世の中で錯視、錯覚は普通に使われています。
それに気付けるかどうかのポイントが、知識であったり経験であったりするわけです。
人間の脳には2つのシステムが有る
この内容は「なぜ人は怪しい壺を欲しくなってしまうのか」というブログ記事でも書いているのですが、再度説明しますね。詳しく知りたい人はファスト&スローという本をぜひ読んでください。
ファスト&スローでは人間の脳の仕組みを、システム1とシステム2に分けています。別にシステムAとシステムBでも、甲と乙でもいいんですが、要は2つに分かれているということが伝わればOKです。
- システム1は直感・反射的に素早く判断し、マルチタスクで働くが思い込みも多い。
- システム2は思考・熟慮を得意とするが、意識的に動かす必要があり、エネルギー消費も多い。なおかつシングルタスク。
例えば信号無視のトラックが突っ込んできた場合、役に立つのはシステム1です。「危ない!逃げろ!」と判断し、颯爽と避けることができます。ここでシステム2を起動させて熟慮してたら命の危険です。危険というか死にます。
逆に計算問題はシステム2の出番です。一問一問、熟慮して答えを導き出していきます。ここでシステム1特有の直感で数字を解答用紙に書いていくと、赤点が待っているわけです。
残念な点として、システム1と2は同時使用できません。
車を避けながら計算問題を解くというシチュエーションは有り得ませんが、運転中に考え事しててヒヤッとしたことってありますよね。簡単な九九でも縄跳びしながら答えるのって難しいんですよ。
そして人間の脳は重要でない事象をすぐ忘れていきます。
外出自粛の影響でオンラインセミナーがメインになった最近だとこのネタ使えないのですが、会場を借りて開催するセミナーの場合、よくこのスライドを使います。
この「この会場に来るまで、赤い物体はいくつありましたか?」という質問をすると、面白いくらい参加者は悩みます。
無事に会場に辿り着くためには、赤信号で停まって、青信号で交差点を渡ることがとても大切です。
でも脳はその情報をすぐに奥深く閉まってしまうんです。あまりにも日常的すぎて、記憶の重要度が低いんですよね。そうしないと記憶領域がオーバーシュートしちゃうんです。
錯覚していることすら気付かないで正当化する
いくつか人間の脳の性質について事例を交えて解説しましたが、何が怖いって「錯覚している(思考を操られている)ことすら気づかないこと」なんですよ。
自分の決断は本当に自分の意志でおこなっていると信じられますか?勝手に自分の頭の中で、自分に都合の良い物語を紡ぎ出していませんか?
ざっくりいうとシステム1の「思い込み」と「好き嫌い」で判断し、システム2の理論で理由付け(正当化)するんです。
とはいえ、これが悪いことではありません。人間の脳はそういう仕様になっているんです。
自分の意志で買ったのに騙されただなんて認めたくないじゃないですか。なんとか理由付けというか言い訳して自分の愚かさを誰かのせいにしたいんです。そう、都合の良い物語を無意識に作ってでも。
時折、会話が通じない、噛み合わない人がいませんか?それは見えている世界が違うからなのかもしれません。
人の心を動かす7つの要素
このままでは記事が終わらないので、サラッと7つの要素を解説していきます。
- 返報性
- コミットメントと一貫性
- 社会的証明
- 好意
- 権威
- 希少性
- 物語性
の7つです。1~6は影響力の武器という本に、7は物語の法則という本に詳しく載っています。
ファスト&スローの上下巻と合わせて買っても4冊で7,000円程度です。でもこの4冊しっかりと読み込むだけで、80万円もするような変な起業セミナーやインターネットビジネススクールなんて行かなくて大丈夫です。むしろ4冊読んで79万円の予算で実践した方が間違いなく力になります。
本の内容を理解した上でスクールの募集ページ(ランディングページ)を見ることで、どんなテクニックを使っていて、どうやって人間の射幸心を煽っているのか見抜けるようになります。
さらに主催者の人間性や生活環境までありありとイメージできるようになります。「あー、またやってんな。お金ないんだろうなぁ」と、募集ページをニヤニヤしながら眺められる嫌なヤツになれます。僕のことです。
で、本当であればスライド一枚一枚を事細かに解説していきたいんですが、そうするとすでに3,000字超えてる文章が余裕で10,000字超えるので、スライドを貼っていきます。
ざっくりこんな感じです。あなたの読んでいる募集ページ、どの要素が使われていますか?
本当に良いものであれば内容を伝えることは非常に重要ですが、中身がわからないのにこのテクニックばかり使われていたら、そっとそのページを閉じましょう。
なお、僕がこのセミナー(ブログ記事)で自己紹介を詳しく載せたのは、「社会的証明」を「権威」を強調するためです。
あのプロフィールを読んで、ちょっとでもすごいと思ったら、あなたの脳は操られています。もしかしたら僕、単なる無職のおじさんかもしれませんよ。世の中にいる自称インフルエンサーってどうなんでしょうかね。僕は業界詳しくないのでよくわからないんですけど。
物語性の部分はよくある事例を用意しました
日本人は特に苦労話大好きなんですよ。
共感して、自分も人生逆転できると思いたいんです。本当にそんなキレイなストーリーで人生が語れるわけないじゃないですか。大概が作り話か8割ぐらい盛ってます(2020 染谷体感調べ)。
物語には人を感動させるための王道パターンがあります。多くの映画やドラマにこのパターンは使われています。
そんなに紆余曲折人生あります?あるんだよなー、インターネットだと。
この言葉が入ってたら98%逃げた方がいい要注意フレーズとチェックポイント
ここまで長文を読んでいただきありがとうございます。
読んだけどよくわかんねという人に向けて、要注意チェックポイントと要注意フレーズを載せておきますので、ここで紹介する言葉が出てきたらすぐ逃げてください。98%ぐらいの確率で逃げてよかったと思うはずです。
あとやたら無料特典とか○大プレゼントとか書いてあるページも、後から高額商品で回収する気満々なので、信じちゃダメです。チェックボックスとかカウントダウンタイマーとかあったらそれだけでNGなので失笑して閉じてください。単なるメールアドレスリスト集めです。
まさか令和の時代に、そんな質の悪いダイレクトレスポンスマーケティングやQUESTフォーミュラの表面こすったみたいなテクニック使ってる自称マーケッターなんていないと思いますけど。
※ダイレクトレスポンスマーケティングやQUESTフォーミュラ自体は、しっかり理解して上手に使えば今でも非常に有効なノウハウです。問題なのは表面的な部分しか使っていないことです。
それでも脳は騙される
長々と書きましたが、それでも脳は騙されるんです。僕もいまだに大なり小なり騙されます(思考を操られます)。その時はすごいなーって素直に感心して研究するんですけど。
いきなりすべてを見通せる悟り人なんていません。だから小さく騙される経験を積むことが大切なんです。
昔は僕も若くて、友人が「あの商材に騙された」とか「あの(自称)コンサルにお金払ったのになんにもしてくれない」という相談(愚痴)を親身になって聞いてたんですけど、最近、大人になって心が荒んできたせいか1万円以下の金額だったら「早めに騙されて良かったね」って言っちゃってます。
騙す方はもちろん悪いですが(いや騙してる気もなくて単にコンテンツのレベルが低い場合がほとんどなんですけど)、騙される方も何かしらの下心があるから騙されるんですよ。
たくさん小さく騙されて、そして免疫を付けてください。
次回予告
実はこのセミナー(前編)はあくまでも余興で、うちの鬼嫁様(ネットウォッチャー)が喋った後編が本編になります。こちらも近いうちに解説を載せますので、楽しみにしていてくださいね。