2016年に発売した「世界一やさしいブログの教科書 1年生」が、おかげさまで6刷になりました(∩´∀`)∩ワーイ
僕が本を書く上で気をつけているのが「長い間使える、基軸となる内容」です。発売直後の瞬間風速的な売上ではなく、何度も読んでもらえる、時が経っても色あせない根っこの部分を大切にしています。
そんなわけで、3年前に出版した本がじわりじわりと売れ続けて6刷になったのは感慨深いものがあります。
このブログの教科書で伝えたかったメッセージは「ブログの可能性」です。最近、ブログは収益を得るための道具的な考えが強くなっていますが、ブログはそんな狭い世界だけで活きるツールではありません。
以下に本書の目次を載せますが、収益化のことは一章分しか載せていません。
【ホームルーム】ブログってこんなに楽しい!
【1時限目】ブログの運営と基礎を学ぼう
【2時限目】先輩ブロガーの成功パターンを学ぼう
【3時限目】人気記事の書き方を学ぼう
【4時限目】ブログで収益をあげる方法
【5時限目】最強のブロガーになる方法
情報発信によって変わる世界を感じてもらいたかったからです。
で、せっかくなので6刷記念に第五章「最強のブロガーになる方法」の一部をこの記事で無料公開したいと思います。一部と言っても2万字ぐらいあるので、お時間のある時にゆっくり読んでみてください。
この記事を読んでブログの可能性を少しでも感じてくれたら嬉しいです。この記事を読んで本が欲しくなって買ってくれたらなお嬉しいです。
最強のブロガーになる方法
発信力は人生における武器
ブログを書き続けている人からすると気づかないことかもしれませんが、「発信できる」「文章が書ける」「人前で自分の考えを述べられる」「SNSを使いこなせる」というのは立派なスキルです。世間の大多数は、平然とした顔でそんなことはできません。
私は仕事柄、経営者や生産者とお話しする機会が多いのですが、ブログの話をするだけで非常に重宝されます。彼ら彼女らは、いい製品・サービスはつくれても、それを効果的に発信する方法を知らないのです。自分のメソッドやコンテンツを確立している業界トップの講師やセラピストもそうです。自分たちの能力を、的確に客層に届けられないのです。
物を売るためには発信力が必要
2015年9月14日に、復興庁主催で「世界にも通用する究極のお土産フォーラム」と銘打ったシンポジウムと、商品の品評会がありました。日本(特に東北地方)が誇る新たな価値を発掘するために、現地の生産者と百貨店や小売店のバイヤーが中心となり、各地域の名産品をPRして販路を拡大しようという会合でした。
そんな中、シンポジウム内のパネルディスカッションで共感したフレーズがいくつかあったので、紹介します。
どんなにいいものをつくってもプロモーションしなければ伝わらない
本当にこれは重要なポイントです。
悪いものをつくろうと思って活動している生産者なんてどこにもいません。今や、製品やサービスがいいのはあたりまえの時代になっています。どんなお店に行っても、粗悪品や質の悪いサービスを提供しているところなんてありません。
「あたりまえ」のレベルが上がっている世の中で、自分に最適な製品やサービスを求めている顧客層に情報を届け、興味を持ってもらい、購入する理由を提案していく必要があります。言い換えると、「〝伝える〟という行動が非常に重要」になってくるわけです。
アイデアを振り絞るか、汗を大量にかくかしかない
情報発信には有料(広告)か無料(記事)かの2種類しかありません。瞬発的な結果がほしければ、お金をかけて広告を打てばいいんです。
しかし、潤沢な資金がある企業や自治体は決して多くありません。だからこそ、頭を使うか体を使うかして、記事にしてもらう施策を練らなければいけないわけです。ただボーッと待っているだけでは、きっかけは生まれません。メディアに取りあげられる地域や会社は、それだけの努力と工夫をしているのです。
お土産は値段じゃなくてストーリー
地域の特性や生産者の想いを、過不足なく表現することは本当に重要です。
家族や親しい友人(あるいは自分)へのお土産って、もちろん値段も考慮に入れますが、話のネタになるようなものを好んで買う場合が多いですよね。プレゼント先が大切な人であればあるほど、その意識は強くなると思います。なぜこのお土産を選んだのかという理由が明確だと、手に取ってもらいやすくなるわけです。
自分たちにできること、それが多言語で発信することだった
「佐渡島に小さな酒蔵があるが、規模が小さいから商社は相手にしてくれない。だから自分たちでホームページを外国語に翻訳した。そうしたら海外から問いあわせをもらった。自分たちが一歩動いたからこそ、世の中から反応があった」
最近の技術を使っているわけでもなければ、昨今のトレンドに沿ったホームページというわけでもありません。でも自分たちのできることを考えた結果、「世界に日本酒を広めるために多言語化を図った」わけです。国や都道府県、市町村などの行政機関にできることはかぎられています。最終的には自分たちがやるかやらないかで、成果というのは大きく変わってくるのです。
食べなくても買いたくなるストーリーを発信する
「漁師や農家など、生産者からしてみると〝食べてもらえばよさはわかる〟。でも、バイヤーからしてみれば〝食べなくても買いたくなるストーリーがほしい〟。いい製品なのはわかる。でも手に取ってもらうには理由が必要」
つくり手側からしてみると、1度手に取って口にしてもらえさえすればよさはわかってもらえるという自信があります。私も書籍をつくっているので、その気持ちはすごくわかります。でも、それって自分のエゴなんですね。
何度もいいますが、みんながいい物をつくろうとしている、つくっているのなんて、今の世の中あたりまえなんです。今回エントリーされた496商品の第一次選考は書類選考だったそうです。
「食べもせずに何がわかる」と言いたくなる気持ちも理解できます。でも選考側からしてみると、「写真を見て、エントリーの文章を読んだだけで食べたくなる〝理由〟が大切」だったんです。
これだけ商品があふれている世の中です。厳しいようですが、「食べてもらえれば」なんて言葉は言い訳にしかなりません。
「そこでしかできない」経験を発信する
「ハーゲンダッツで使われている日本の生乳は北海道の浜中町で生産されている。日本のハーゲンダッツアイスは、世界中のハーゲンダッツの中でも1番品質がいいという。その生乳でつくったソフトクリームを浜中町で食べることができるが本当に旨い。浜中町までソフトクリームを食べに行く意味がある」
実は、私はアイスクリームが苦手なのでハーゲンダッツもあまり食べたことがないのですが、この情報にはびっくりしました。知っている人にとってはあたりまえなのでしょうが、日本の製品の品質は世界でも十分通用するんです。
そして何よりもすごい情報が、その生乳でつくったソフトクリームは浜中町でしか食べられないということです。この「現地でしか食べられないというのは、ものすごい魅力」だと思います。
アイスクリームは苦手ですがソフトクリームは大好きなので、家族旅行の行き先のひとつに完全にノミネートされました。これが、きっかけづくりの大切さです。発信してくれたからこそ、私のもとに情報が届いたのです。
発信力を持つことの強さ
どうでしょう。情報発信をすることがどれだけ重要か、少しでも感じてもらえたでしょうか。
今の世の中、情報発信のスキルを持っている経営者・生産者ばかりではありません。そこであなたの発信能力が活きてくるわけです。「好きなことを書いているだけのブログ運営から、あなたの発信能力を必要としてくれる人に提供し、喜んでもらう」。発信力というあなたの武器を活かして、次のステージに歩みを進めてみてはいかがでしょうか。
バズらせる技術
意識してバズらせることができるか?
じわじわと草の根的に情報を広めていくことが、ブログを利用した発信の基本ではありますが、状況によっては情報の拡散量を極大化させなければいけないタイミングがあります。インターネット用語でいうと、「バズらせる」ということです。
偶然のバズであれば、ある程度の期間ブログを運営していれば誰でも経験できます。でも意図してバズらせることができたら、技術に昇華されるわけです。
もちろん、ねらったことがすべてうまくいくとはかぎりません。でも「バズったらいいな」と祈りだけで無策で記事を公開するのと、「このテクニックを仕掛けたのでバズる可能性がある」と仮説を立てて、実験し、結果を検証していくのとでは、結果として同じアクセス数を生み出したバズでも、内容的には全然違います。
私はよく、「知っているけどやらないという”選択”と、知らないからできないという”勉強不足”は、見た目の現象は一緒でも中身はぜんぜん違う」という言葉を使います。結果的にバズったというのはあくまでも結果論で、技術として身についているわけではありません。
もちろん、ねらっていてもスベることなんて日常茶飯事です。私がどれだけ、バズらせようとしてスベってきたか。でも、その経験自体に意味があるわけです。
そもそもバズって何?
バズとは「SNSなどで話題になり、その情報が広く拡散されていく現象」を指します。ここでいうSNSとは「Facebook」や「Twitter」、厳密にいうとSNSではありませんが、ソーシャルブックマークサービスである「はてなブックマーク」を指します。
私はバズには2種類あると思っていて、それは単純に「いいバズ」「悪いバズ」と分類しています。「いいバズとは公開した情報が起点となってポジティブなシェアが連鎖的に発生したり、問題提起となって前向きな議論を生み出したりする現象」で、「悪いバズとは公開した情報が起点となってネガティブなシェアが連鎖的に発生し、批判や反論の制御が効かなくなる現象」と私の中で定義しています。悪いバズは、「炎上」とも呼ばれます。
炎上の原理
炎上は、次の3つのポイントを押さえておけば比較的簡単に引き起こすことができます。
- 大多数へ向けての問題提起を行うこと
- 主張は強く(過激に)、論証は乏しいこと
- 自らが体現できていないこと
1.大多数へ向けての問題提起を行うこと
ひとつ目は、たとえば会社員が大多数のこの日本で「サラリーマンは将来真っ暗だから早く辞めて自分で仕事つくれ」って声高に叫ぶことです。
現在の日本は会社員が大多数です。そのような環境の中で、自分の仕事(立場)を真っ向から否定されたらムカッとしますよね。でも、まだそれだけならいいんです、単なる一個人の主張ですから。火種に油を注ぐためには、残りの2つの要素も加えなければいけません。
2.主張は強く(過激に)、論証は乏しいこと
2つ目のポイントは、「主張と論証のバランスが取れていない」という点です。
主張が強ければ強いほど、それを補完するだけの論証を提示しなければいけません。たとえば、過去3年分のデータを収集して、給与の変遷をグラフ化してみる。脱サラしてうまくいっている人、うまくいっていない人のインタビューを載せてみる。この証拠の根拠が弱ければ弱いほど、読み手側は「それ、お前だけだよね」という意識になり、火種が大きくなるわけです。
3.体現できていないこと
3つ目のポイントですが、簡単にいうと「お前が言うな」という感情です。
会社員として実績を残している人、成果を残している人が言うと不思議なことに第三者は納得するんです。ただ会社勤めもしたことない人、あるいは短期間で退職している人が言うと反感を買います。だから若い人が会社員をバカにすると、大きく燃え上がる傾向にあります。
「炎上させたいのであれば、大多数の反感を生むような過激な発言を、裏づけなしで声高に主張して、影響力の強い人の目に留まるように拡散すればいい」わけです。
悪いほうのバズを起こすことのメリットって何?
よくぞ僕たちの言いたいことを代弁してくれた! という濃いファン層を得ることは可能かもしれません。でもアンチ層も必ず発生します。
意識してバズを使い分けることでファンの構築、あるいは商品やサービスを効果的にPRすることができるので、自分のブログの運営方針に照らしあわせて表現方法を検証しましょう。
バズを起こして何がしたいのか
何をするにしても、目的がしっかりしていなければ意味がありません。
ただPV集めをねらいたいのであれば、炎上でもかまいません。でも、本書を読み進めてくれているあなたは、「ブロガーとしての信頼度を向上させたい」とか「個人のブランドを構築したい」「自分(クライアント)の商品やサービスを販売したい」などの目的があるはずですね。そうなると、「読み手に悪印象を与える炎上は好ましくない状態」なのです。
自分自身や製品に対してポジティブな印象を持たせたいのであれば、いいバズを「ねらって」巻き起こす必要があります。そのためには中身の濃い、信頼度の高い記事を発信しなければなりません。
パワフルなコンテンツをつくり出す
中身の濃い、パワフルな記事をつくり出すためにも3つのポイントがあります。
・記事のコンセプトを明確にすること
・すべてを凝縮したタイトルをつくること
・推敲を徹底的に行うこと
要は「骨太のコンテンツをつくって、効果的に拡散する準備をしましょう」ということです。
コンセプトがしっかりしていなければ、芯の通った文章を書くことはできません。せっかく書いた記事も興味を引くタイトルでなければ、SNSのタイムラインに流れていてもクリックされません。独りよがりな内容では、読み手のメリットが小さければ、読者はわざわざシェアしません。
そして、記事が書きあがったらその達成感に満足してしまい、そのまま公開しているような記事もよく見かけます。書いてすぐ公開してはダメです。何回も見直しましょう。
「私が本当に力を注いだ記事は、文章を書きあげた当日に3回、翌日の朝と記事の公開直前に1回ずつ、そして記事公開後に2回の、計7回の修正をします」。時間にしたら2~3時間ぐらいです。
誤字のチェックをするのはもちろん、もっとインパクトのある言葉にできないか、もっと簡潔に説明できないか、もっとわかりやすい表現はないかを検証し、必要ない個所は削ぎ落として、足りない個所は加筆します。「何回も手を加えることで、研ぎ澄まされた記事になる」のです。
このことはブログにかぎらず、商品を売るためのランディングページやダイレクトメール、パンフレットなども同様です。この書籍も5回推敲/校正しています。
SNSで影響力を持つ
強力なコンテンツができたら、SNSで共有することで情報の拡散スピードを早めることができます。そのスピードは、自分のSNSアカウントの影響力の強さに応じて変動します。
要は「影響力のある人になる、影響力のあるアカウントを育てることによって、バズの可能性を高めることができる」わけです。
コンテンツのパワーとSNSの影響力は、バズらせるための両輪となります。どちらか一方が強いだけでもそれなりの結果にはなると思いますが、両方が強くなることで指数関数的に拡散力は増大します。意図してバズをねらうのであれば、SNSのパワーも強めていく必要があるわけです。
ブログと同様に、SNSでの影響力を強めるためにも継続が重要です。読み手が価値を感じてくれる情報を発信することで、フォロワーが増えていきます。
とはいえ、「最初からSNSで影響力を持っている人なんていないので、まずは影響力の強い人と仲よくなる」というやり方もあります。打算的に感じるかもしれませんが、人と仲よくなるということも立派な行動です。一歩一歩、少しずつ影響力を高めていきましょう。
ブロガーから専門家・評論家へ
ブログだけで生きていくことの危険性
ブログだけで生活し続けることは大変です。
ブログ単体で収益を生み出さなければいけないのはもちろんのこと、その収益が維持できるという保証なんてどこにもありません。Google AdSenseにしてもアフィリエイトにしても、サービス提供側がルールを変えてしまったら、利用している私たちにも大きな影響が発生します。
具体的事例を挙げると、2014年8月にAmazonアソシエイトが報酬率を大きく変更しています。古い報酬体系では販売商品数に応じて最大8%の報酬を支払っていましたが、同年9月からは商品カテゴリそれぞれに固定の報酬率が設定されるようになりました。代表的なカテゴリでは、家電やパソコン、カメラ、ゲーム、CD・DVDなどの商品が2%固定、書籍やおもちゃなどの商品が3%固定の報酬率に変わりました。
これらの商品を中心に取り扱っていたブロガーは、収益が大きく下がりました。逆に、Kindleなどの電子書籍や楽曲のダウンロード販売などは8%固定の報酬率となっていますが、これもAmazonが主導権を握っているわけです。
Amazonにかぎらず、ほかのアフィリエイトプログラムやクリック課金型広告も、サービス提供側の運営方針が変更されてしまうと、利用者側は多大な影響を受けます。
直接的な収益源だけでなく、検索エンジンのしくみが変わる、SNSの利用規約が変わるなど、さまざまな変動要因が考えられます。ブログが大好きでブログで生きていきたいという気持ちを否定するつもりはありませんが、ひとつのインフラに固執するのはリスクであることを認識しておいてください。
生活し続けていくための作戦
そのリスクを分散するために私が選択したのが、ブログで集客するための知識や経験を体系化し、そのノウハウを別のメディアで利用したり、パッケージ化して教育やコンサルティングの材料として活用したりする方法です。
別のメディアで利用するというのは、「自分の得意分野を取り扱う外部媒体に、ライターとして参加する」という形です。原稿料をもらえるインターネットメディアもあるので、ライターを募集しているメディアがないか探してみましょう。1500字で5000円の原稿料だとしたら、それを10本書くだけでも5万円の収益となります。「万が一、ブログからの収益が下降したとしても、複数の収益源を確保しておくことが保険となる」わけです。
長期間ブログを運営していると、得意分野が明確化されてきます。外部媒体での仕事も、得意分野での記事が多くなってくることでしょう。そう実感してきたら、その分野の専門家として外の世界に飛び出してみるのもいい経験になります。
その際、「勝手に”○○の専門家です”と自称しても問題はありませんが、バックボーンというか説得力がまったくない」ですね。とはいえ、ブロガーに適合するような資格があるわけでもないので、なかなか専門家という根拠が示しづらいんです。
第三者機関からの肩書きを得る
そこで私が目をつけたのが、All Aboutというメディアで第三者機関からの肩書きを得ることでした。All Aboutは、自薦で専門家になれる門戸が開かれています。
私の場合、All Aboutガイド申し込み時はこれといった肩書はありませんでした。そこで当時、募集枠のあったアフィリエイトガイドに申し込んでみたのです。選考内容は割愛しますが、各種選考を経て、All Aboutのアフィリエイトガイドに就任しました。
All Aboutガイドは常に公式ガイドを募集しており、この原稿を書いている2016年7月現在も、数多くのテーマで募集がされています。ブログ運営に親和性の高いテーマだと「インターネットサービス」や「iPhone」があります。恋愛経験が豊富な人は「恋愛」をテーマに選んでもいいでしょう。「化粧品・コスメ」「メイク・メイクアップ」なんてテーマもあります。旅行好き、各地域の観光情報に詳しい人なら国内旅行のカテゴリも選択の候補に入ります。
自分の得意分野を活かして、All Aboutという第三者機関から、その道のプロという肩書きを得られる可能性があるわけです。
All Aboutのガイドになると、All Aboutのサイト上で記事を書けるだけでなく、All About経由で仕事が来ることがあります。雑誌の取材もあれば、講演依頼もあります。この積み重ねで、個人のブランドを構築していくわけです。
フリーの立場でがんばるのも悪くないですが、「使えるリソースは活用したほうが、目に見える結果が早く出る」ようになります。肩書きがあることで、安心して依頼してくれるクライアントも少なくありません。もし今後の方向性に悩んでいるブロガー・発信者は、All Aboutというブランドを上手に活用してみてはいかがでしょうか。
「翻訳者」としての務め」
専門性を高めていくと、発信する文章が次第に難しくなってしまう傾向があります。自分の持っている知識を表現するために、専門用語を使う機会が増えるからです。
しかしながら、知識量、理解レベル、経験値は参加者層、読者層によって違います。初心者層に向けて、専門用語をゴリゴリに使って頭がよさそうな雰囲気をかもし出しても、全然伝わりません。そんなことをしたら、参加者・読者にとって私は単なる時間泥棒なわけです。場合によっては、参加費を返してほしいと思う人もいるかもしれません。それはお互いに残念な結果です。
私は書籍でも講演でも、想定される読み手・参加者の理解レベルをイメージしながら、文章や話す内容を変化させています。「日常生活で使うような言葉や事例を選ぶことで、具体的に行動に移してもらえるよう心がけている」わけです。参加者層をイメージして使う言葉を選ぶと、メッセージの届く量を増やすことができます。
そもそも100話した内容を、聞き手が100理解できるわけがありません。人によっては80だったり50だったり、または10しか届かない場合もあるのです。
その届くメッセージ量は、言葉の使い分けで変動します。言葉の量、つまり語彙を増やすには、自分の使いこなせる表現を進歩させなければいけません。私は「小学生でもわかる言葉で」というポイントを常々意識しています。自己満足な文章になっていないか見直して、読み手は何も知らないということを念頭に気配りするなど、公開する前に何度もチェックしてみましょう。
私はこの作業を「翻訳」と定義しています。
英語を日本語に、日本語を中国語に変換するだけが翻訳じゃないんです。「専門用語を一般的な言葉に直すことも、立派な〝翻訳〟」だと思います。友人や知人に読んでもらい、フィードバックをもらうことで、自分の文章の特徴に気づけます。ぜひ第三者の声に耳を傾けてください。
ブログ運営が出版につながる
紙の本を出版するという信用力
会社員であろうと自営業であろうと、一生のうちに1度は本を出してみたいと思っている人は少なくありません。幸いにも私は9冊(共著含む)の本を出版させていただいており、本書が10冊目となります。
出版というと印税生活を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、印税だけで生活できる作家はひと握りです(ブログで生活できる人もひと握りですが)。
いきなり現実的なお金の話でテンションを下げてしまって恐縮ですが、もちろん出版には大きなメリットもあります。「1番のメリットは、本を出版すると周りの見る目が変わる」ということです。「ブログ飯」の出版前は、フリーランスという肩書きのいわゆる無職だったのですが、出版したあとから「先生扱い」になりました。
「紙の本を出版するということは、世間的にはそれだけのインパクトと信用を与える」のです。企業の社長や飲食店のオーナーが本を書くのも、この世間からの信用を得たいからでしょう。
Kindleなどの電子書籍でもいいのですが、自分の分身が紀伊國屋書店やジュンク堂書店などに陳列されると感慨深いものがあります。あと、やはり親孝行になります。
出版までの大きな流れ
1.どんな分野でもいいから実績をつくる
私の場合は、ブログからの集客と収益化というノウハウを持っていました。収益化方法もGoogle AdSenseやアフィリエイトなど、複数のパターンを使っています。Google AdSense成功事例に掲載されているという実績もありました。
分野は問いませんが(購読者層が多ければ多いほど好ましいですが)、「できるだけ複数の得意分野を組みあわせて、自分自身の独自性を高めておく」必要があります。
2.実績を体系化する
「積みあげた経験をベースに、理論や方法、法則などを系統立てて、第三者が読んでも再現できるような形」にしておきましょう。私の場合は、ひとつの成功事例を見つけ出したら、その法則を何回か別のブログでテストして、効果が再現できるかどうかチェックしています。
1回だけうまくいったというのは、単なるまぐれです。3~4回、同じような傾向が見られたら法則として考えてみてもいいでしょう。
3.出版企画書をつくる
自分のプロフィール、どんなテーマの本をつくりたいのか、読者層はどのような人なのか、内容(目次)などをまとめていきます。
出版企画書のテンプレートはインターネットで検索すれば出てくるので、その形式に沿って書いていってもいいでしょう。しかしながら企画書は、本のアイデアが書いてあるだけではダメです。「その本が売れるのかどうかを出版社にアピールしなければなりません」。
出版社は売れる本を求めています。内容が濃く読み手の役に立つのはもちろんですが、そのテーマが世間で受け入れられるのかどうかも記載しておきましょう。業界の大きさ、自分のブログや友人のブログでの宣伝協力、講演会などでの手売り。少なくとも初版分は完売できそうな好印象を、出版社の営業担当や役職者クラスに感じてもらう必要があります。「編集者はいい本をつくりたがりますが、出版社は売れる本がほしい」のです。
4.編集者と知りあう
出版社に企画書を持ち込む、出版エージェントを利用するという形もありますが、やはり「編集担当者と直接知りあっておくというのは非常に重要」です。自分の出したいジャンルの編でなくても、紹介してもらえる可能性もあります。
編集者に出会う機会なんてないと思われるかもしれませんが、目的を持っていろいろな場所に足を運べば、ツチノコより簡単に見つかります。好きな作家の出版記念講演に足を運べば、その書籍の担当編集者が来ている可能性もあります。出版したい人向けの勉強会だってあります。要は「自分の意志で、その機会をつかみにいくかどうかだけの差」なのです。
5.原稿を書く
いくら出版企画が編集会議を通過しても、1冊あたり10~15万字を書きあげなければ書籍にはなりません。多めに書いて原稿を提出し、編集段階で心で涙を流しながら文章を削っていくことで、濃密な本ができあがります。「ワンテーマで20万字以上書くつもり」でがんばってください。
6.できあがった書籍を売る
書籍は書いて終わりではありません。発売されたら全力で売りましょう。あるいは売っているかのように見えるアクションを取ってください。自分のブログで紹介するのもいいですし、お世話になった人、影響力の大きい人に献本してもいいでしょう。自分の足を使って書店営業をするのもいいかもしれません。
特にデビュー作は、増刷されるよう最大限の活動をしましょう。毎年、数多くの作家がデビューしていますが、2冊目、3冊目と書いている人は決して多くはありません。出版社も売れない本を出し続けるわけにはいかないのです。逆に「一定数の販売が見込める作家に、執筆依頼が集中」します。
記念で1冊出版したいだけなら無理して売る必要はありませんが、これからも出版にかかわっていきたいと考えているのなら、がんばって動きましょう。
出版から次のステージへ
文章を書いている人からすると、出版はひとつの目標であり、ゴールでもあるでしょう。しかし、出版は新たなステージへのスタートでもあります。
出版まで行き着いたあなたは、単なるブロガーではありません。作家のステージ、講演家のステージ、コンサルタントのステージ、教育者のステージなど、次なる広大なフィールドが広がっています。
大きなステージで活躍するためには、何よりも「志の高さ」が重要になります。志という言葉がピンとこなければ、目標という単語に置き換えてもいいでしょう。
- 会社を辞める口実としてブログで稼ぎたい
- ブログが大好きだからブログで生活できるレベルになりたい
- 作家になる夢を叶えるためにブログを活用したい
- 自分の知識や経験で次世代を導きたい
- 自分の発信力を活かして世界をよりよく変化させたい
おそらく1、2ぐらいの志では、出版までは届かないと思います。3でも怪しいところです。目標値をゴール地点にしても、その願いは叶いません。最後の壁が越えられないのです。
私が「ブログ飯」を書く前に考えていたことは4のステージで、教育のために書籍を活用したいという思いでした。「誰かに何かを教えるためには、自分のステージを高めなければ説得力がないと思っていた」からです。だから、経由地点である出版は教育のステージに自分が登るための糧で、結果として10冊もの書籍を出すことができました。
自分の夢や目標よりもさらに上のステージに、未来の自分のフックをかける
ちなみに現時点の私の志は5です。
現時点の実力よりも高い位置にフックを引っかけることで、自分をさらに高めるための課題をクリアできるような思考回路にアップデートさせていく必要があります。
発信先は日本語圏内にかぎりません。そのためには外国語のスキルも必要になるでしょう。私は語学が得意ではないので今まで英語は越えられない壁でしたが、情報発信によって世界をよりよくさせたいのであれば英語は必須要素になります。自分の意識が変わることで、「問題は課題となり、壁は糧になる」のです。
未来の自分がなりたいステージにフックをかけることを意識して行動すると、夢はものすごいスピードで叶っていきます。この本をここまで読んでくれたあなたに、私が最後に伝えたかったメッセージを載せて筆を置きたいと思います。